虹の旅人

2011年3月11日 故郷が壊滅。 人生はNext Stageへ

「ちょちょら」 ~畠中 恵~

 題名になっている「ちょちょら」とは 弁舌の立つお調子者。いい加減なお世辞。調子の良い言葉。の意味だそうです。
 
作者の畠中恵さんの時代小説には この本以外にも「ちょちょら」と言われるような主人公が登場します。
 
今時の言葉で言えば軽いんだか重いんだか 冷めてるのか熱いか解らない若者なのに その若者の背骨には 細い鋼の芯がピーンと通っていて ちゃらけて世の中を渡っているように見えても 人情にも友情にも厚い ブレない人物として描かれます。
 
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 「ちょちょら」の主人公は間野新之介で 優秀な兄上が自死して 急遽平々々凡々々な弟が貧乏藩の新米江戸留守居役となり成長して行く物語です。
 
幕政と藩政の調整役やら藩の外交面を引き受けたり 殿が登城の折には着物の格や作法などを幕府の指示に合わせて用意するのが留守居役で 他に幕府の情報をいち早くキャッチして 普請や藩の散財を防いだりする 特殊なお役目ようです。(この度知りました・・・)
 
当時も今も 政治的戦力や策略がうごめいてますから いかに優秀な人物がことに当たって確実な情報をいち早く獲得して 自分達。しいては自分の藩の存続と 民の生活を守れるか。という仕事の話になります。
 
文明が進み情報収集の機能と量は膨大になっても それを操る人間の質はどうなのか。と昨今のマスコミニュースや 国会中継を見ていて思うことですが 情報を手に入れるために 昔は藩からお金が出ていて 今は国・県の税金等の庶民が納めたお金を使っていることに変わりは無く ただ情報収集の場が 世界規模で広くなっただけのような気がします。。  
 
~使えるカードとチップを持つ者が 生き残る~のでしょうが 借金で藩の存続すら危うい貧乏藩の若い留守居役の新之介は 皆をも生き残れるように画策しているうちに 決め手も"つて"も無い 自分の藩の救出が後回しとなってしまいます。
 
そこは 若いからこそ出てしまったお人好しの新之介「の”甘さ”なのですが 最後はその人物の力量と才能を試されれて目出度し 目出度し。
     お陰で私も その甘い夢に浸りました。
 
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 上は新米多々良木藩の留守居役・新之介が 江戸城に初勤務したときに迷子になった「江戸城本丸表絵図」
 
刃傷沙汰で有名な松之廊下の襖絵は松が描かれていて 竹之廊下の襖には竹が描かれていたようです。 廊下の幅は畳4枚分。(広いです)
 この江戸城本丸の見取り図は インテリア業の資料として保存。