虹の旅人

2011年3月11日 故郷が壊滅。 人生はNext Stageへ

「一路」 ~浅田 次郎~

 仕事の他に”ほぼ60歳の手習い”で 手作り(タッセル)講習に通っていますが 開始当時に起きたアクシデントのしわ寄せで 今は週2~3回の過密スケジュールとなり 札幌を端から端まで縦断しています。

講習で習った作品と同じ作品を作る宿題が毎回出て それを次回までに提出するのですが 1時間半の道のりを読書に当てている私は 「一路」浅田次郎著にのめり込み 宿題の提出が疎かになりつつあります・・・



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時は徳川将軍13代家茂の時代に 幕府の威信も財政も破たん寸前の江戸に向かう参勤交代の行列を 父の不慮の死によって取り仕切る19歳の御供頭の”小野寺一路”が主人公の物語です。

父からお役目全般も何もかも受け継がない”一路”が 家伝の「行軍録」を頼りに 田名部藩総勢80人を戦場に向かう行軍に仕立て 江戸を目指して進みます。

陰謀渦巻く旅の途中に 小野寺家存続と責務を持つ若い御供頭”一路”の困難を 父所縁の武士や うつけ者と呼ばれる七千五百万石・田名部藩のお殿様・蒔坂左京大夫のご縁の役人やらが次々と現れて救出するのです。 人脈というのでしょうか・・・

武士といえども政治が力を失った江戸末期の武士。
それでも参勤交代の行列が泊まる宿場や 本陣を守り武士には度量と才覚のある”かくも・・・”という”武士”がまだ存在して 
~いかに貧しくとも顧みて天に恥じぬ人生ならば 神罰など下ろうはずがないではないか~と 幕府に届けるべき不始末を見逃す場面があります

スイスイ読み進められる軽い内容の時代劇小説なのですが 禄に困る帯刀武士が 忠義と己の情の狭間でキラリ
とを見せる正義と痛快さに 涙腺が弱くなった私は 公共の乗り物の中にいることを忘れて 目頭をじんわり滲ませてしまいます


政治の力が弱くなり 国の財源も少なくなっている今の時代を重ねれば 若い世代を育てる諸先輩が現われないことが ただ残念でもあります・・・。