それは二週間前のこと。
その龍たちを前にして 私は語る。
私は夢の中で 生まれ故郷・気仙沼の内 湾を見渡せる高台に立っていた。
内湾には 三陸じゅうの各港から 人間の足元に鯉が餌を求めて集るように 色や大きさの違う龍たちが 沢山集まって来ていた。
「内湾の美しいこの町には かつて龍の言葉を聴く能力を持つ私がいました。
この度 この地でのお役目に区切りがつき お役目人としての働きを納めました。
この地を去るにあたり 最後のご奉公として 心ある地元の人間たちに 三陸の龍たちの言葉を伝えたいと思います。
「何か 三陸の民に伝えたいことがありますか?」と問いかけたのです。
龍たちは言葉を発することをはばかり ただ私がいる後方を凝視していました。
沈黙する龍たちの前列には 先の東日本大震災で人々のために働き 首から先を失った数匹の龍が並んでました。
身体の骨が覗く程 痛ましい姿です。
長い年月の間に土地を守る龍たちは 「人間と関わることが少なくなり 人間に話しかける言葉すら忘れてしまい 一言も発せずにいます」と語りました。
私の後ろに控えていた黄金の龍神が 言葉を発しない言葉の"以心伝心"で 私の胸の内に伝えて来ました。
黄金龍王神
「ワシの前足を覆う鱗を削げ。 鱗を お前の両の掌に乗せて砕き ”黄金の粉”にせよ。”黄金の粉”を 東日本大震災で働き 顔を失った龍に降り注いでやってくれ。
私が最後のお役目を終えたそのとき 黄金龍王神が静かに皆に語りかけました。
「この地には 龍の言葉を理解する者がいなくなる。ワシはこの者が住む 北海道の龍が棲む地に暫く行くことにした。付いてくる者があれば付いて来い。残りたい者はこの地に残れ」と。。。
時刻は7時。
夢とはいえ リアルな黄金龍の言葉を聞く私の枕元で 愛猫が朝の餌をねだって鳴いています。
一度起きて猫に餌を与えて横になっていると 次に 送られて来たビジョンは ピラミッド山の頂上から トグロを巻いて鎮座していた巨大な龍神がいなくなった後の ”山の頂きが欠けた聖地”でした。
寝床から起きた私は 奇しくも数か月前 黄金の龍王が夢の中で語った言葉と符号する出来事を 思い出しました。一度起きて猫に餌を与えて横になっていると 次に 送られて来たビジョンは ピラミッド山の頂上から トグロを巻いて鎮座していた巨大な龍神がいなくなった後の ”山の頂きが欠けた聖地”でした。