~~~~~~~頑張れ 技と知恵の三陸~~~~~
読売新聞 2011・3・21(月)付
北上川河口には葦屋根を葺く人たちがいる。
汽水が育てた葦原を生かし、日本中の文化財の屋根を修復する人たちだ。
自然のままでは葦は使えない。
手を入れ、時期を見て刈り、全国に提供してきた。
技や知恵は人から人へ伝承されてきた。
その間に、時間のヤスリや失敗 、事故、災害、社会の変化が試練を与える。
あるものは淘汰され、残ったものは磨かれ、知恵や技を加え次に渡させる。
それを支えるのは風土とそこに暮らす人たちだ。
私達には人から人に渡してきた記憶がある。
その記憶に大きな哀しみが加わったが、それを抱えながら、次への足がかりを探していこう。
彼の地の人達は、そして生きる知恵を継いできたのだ。
北上川河口の葦は今年もきっと芽を吹く。
頑張れ。
~~~~~作家 塩野 米松氏の寄稿文より抜粋~~~